フェズ旧市街と観光スポット18選!迷路のような世界遺産の古都を徹底解説
モロッコの首都は行政の中心ラバト、空の玄関はカサブランカ。観光はマラケシュ。ではフェズは?
モロッコはここから始まった…。モロッコの起源から、何重にもなった歴史が造り出した古都、それがフェズです。多くのモロッコ人にとって精神的な首都とも言え、文化的にも歴史的にも最も重要な土地と言えます。
美しい城門をくぐって旧市街に足を踏み入れれば、タイムスリップしたような風景。迷路のような小道、ざわめきのスーク、印象的な広場と神学校。ロバが通り過ぎ、すれ違う子供が笑顔を見せてくれます。
そんな歴史を閉じ込めたような古都フェズに、人生に一度は行ってみたい!と、願う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、長年モロッコの個人ツアーを扱ってきた弊社の「フェズ観光情報」を写真とともにご紹介していきます。旧市街をまわるコツやホテル・リアド情報もご紹介致しますので、旅行が決定している方はもちろん、ご検討中の方、ご興味がある方にも必見です。
まずはフェズを知る最初の切り口として、その基本情報から見ていきましょう!
Contents
- 1 モロッコの古都フェズの基本情報
- 2 世界一の迷宮都市!旧市街攻略のコツ
- 3 観光スポット18選とモデルコース
- 3.1 フェズ旧市街 (フェズ・エル・バリ) ■■■
- 3.2 ブー・ジュルード門 ■■■
- 3.3 ケビーラ通り&セギーラ通り ■■■
- 3.4 ブー・イナニア・マドラサ(神学校) ■■■
- 3.5 ネジャーリン広場と泉 ■■■
- 3.6 ネジャーリン木工芸博物館 ■■
- 3.7 タンネリ・シディムーサ ■■■
- 3.8 アッタリーン&ヘナ スーク(商店街) ■■
- 3.9 カラウィーン・モスク ■■■
- 3.10 アッタリーン・マドラサ(神学校) ■■
- 3.11 サファリーン広場 ■■
- 3.12 タンネリ・ショワラ ■■
- 3.13 ルーシフ門 ■
- 3.14 アンダルース・モスク ■
- 3.15 ジュナン・スビル庭園 ■
- 3.16 王宮 ■
- 3.17 メラー ■
- 3.18 メリニデス(マリーン朝)の墓 ■■■
- 4 近郊の観光スポット4選!シャウエンや世界遺産も
- 5 素敵な滞在を!おすすめホテル&リアド
- 6 まとめ モロッコを満喫するなら「個人ツアー」がおすすめ!
- 7 フェズ旅行のQ&A! お土産や治安情報など
モロッコの古都フェズの基本情報
ここではフェズの基本情報としてその歴史、行き方、観光のコツなどをご紹介します!
フェズと旧市街(メディナ)の歴史
はじめに丘陵地帯があり、それを貫く川があって、フェズの町はその岸辺から始まりました。8世紀末、イドリス朝の創始者が川沿いに町を建設。首都と制定し、そこからフェズの町は次第に拡大していきます。この初期に発展したエリアが現在「フェズ・エル・バリ」と呼ばれます。
時代を追って勢力が入れ替わり、ファーティマ朝、ムラービト朝、ムワッヒド朝を経て首都はマラケシュへと遷都します。その後13世紀にマリーン朝を迎え、首都が再びフェズに定められたことで、新しい区画が発展。それが現在の「フェズ・エル・ジュディド」となります。
街並みは世界遺産にも登録
これら「フェズ・エル・バリ」「フェズ・エル・ジュディド」を合わせた範囲が、「フェズの旧市街」として1981年世界遺産に登録されました。
「フェズ・エル・バリ」地区を囲む市壁には、8つの城門が設けられ、人々を迎え入れ、送り出しました。フェズは、北は現ヨーロッパのイベリア半島、東はメクネスやラバトの都市、西は広大なアラブ世界、南は砂漠、これらの中継地点であり交差点。城門は交易上重要な位置に設けられました。
また迷路のような家並み、にぎわいのあるスーク、多数のモスクやマドラサ(神学校)が現存します。随所に見られるモザイクタイル、漆喰、木の彫刻、印象的なアーチの建築物に目を奪われる、歴史を閉じ込めたような古都です。
アフリカ大陸!フェズの場所と地図
そんな非日常の風景を堪能できるフェズ、国は「モロッコ」にあります。日本からは遠いイメージですがヨーロッパからは近く、スペインから地中海を超えたすぐ南、アフリカ大陸の北西の端にある国です。
フェズはそんなモロッコの北部、内陸に入った丘陵地帯にあります。街は丘に囲まれ、周辺では小麦、オリーブ、ブドウが栽培される、穏やかな土地柄です。また一歩街を出れば、ヒツジやヤギの遊牧が見られるかもしれません。
日本からフェズの行き方
日本からモロッコへのフライトは、中東(ドバイ・カタール等)か欧州(フランス・オランダ等)経由がほとんど。経由地で乗り換えた後、多くは国際空港のある「カサブランカ」が、モロッコへの入口となります。
フェズには空港がありますので、国際線の時間によっては乗り継ぎできることも。ただしモロッコの国内線は本数がとても少なく、乗り継ぎが悪いことが多いばかりか、少なからずキャンセルが起きるケースもあります。
このためモロッコの国内移動は、列車や車を利用する方がより確実。車の場合はホテルまで直行できますのでよりスムーズです。鉄道の場合カサブランカからフェズまでは約3時間半でアクセスできます。まるで「世界の車窓から」の実体験で、ロマンがあっておすすめですよ!
空港・駅からのアクセスとタクシー事情
カサブランカから鉄道の場合はフェズ駅に到着。駅の南が新市街、北西が旧市街エリアになります。ここからはタクシーを利用するのが一般的ですが、モロッコのタクシーは分かりづらく、「赤いタクシー(赤タク)」はメーター制、「白いタクシー(白タク)」は交渉制です。
そもそも白タクというのは認可外で、けっこうグレーな存在。ただモロッコでは一般に受け入れられており、観光客が乗車したとして問題は生じません。
ビックリするのは、どちらのタクシーも「相乗り」が発生することです。これについてはルールも料金も明確ではなく、現地の習慣としか言えません。ただ、たとえば駅~旧市街であれば「15DH=200円」くらいが相場ですから、これを目安にして払えば間違いありません(交渉制は必ず乗車前に額を決めてください)。
すべてが定価の日本とは感覚が違います。多少の金額の増減は気にしないことがモロッコを気持ちよく旅するコツですよ!
空港からも赤タク・白タクの選択肢があります。(鉄道駅まではバスもありお得ですが、荷物を乗せるスペースがないためおすすめしません。)タクシーは空港から旧市街までで「150DH=2000円」くらいが相場です。
旧市街のホテル・リアドまではどう行くの?
リアドなどフェズ旧市街の中に宿泊する場合は、予めよく立地を確認の上で予約をするようにしましょう。旧市街に車は入って行けませんので、特に手配をしない場合、一番近いパーキングから自分で歩いてアクセスしなければなりません。
旧市街の中は必ずしも道が整ってはおらず、初めての場所に、ガタガタ道と多少のアップダウン、そこにスーツケースとなると、あまりに城門から遠い施設は避けるべきです。また夜間の到着も避けた方がよく、この場合初日は新市街に泊まることをおすすめします。
総じておすすめは、送迎サポートを別途手配することです。宿泊のリアド経由で手配してもらう方法が安全ですよ。
またタクシーなどの交渉事が苦手な方、スケジュールを決めたい方、迷子になるのが不安な方は、やはり旅行代理店を介した日本からの送迎手配がおすすめ。モロッコは看板や注意書きもフランス語やアラビア語がメインになり、英語ができてさえ混乱するケースがあります。安心安全な旅行をお考えの際には弊社までご相談くださいね。
それでは以下より迷宮都市フェズを詳しくご紹介します!
世界一の迷宮都市!旧市街攻略のコツ
世界遺産に登録される「フェズ旧市街(メディナ)」について、その構造とともに、迷路の街で迷子にならないコツをご紹介しますので、参考にしてくださいね!
世界遺産フェズの構造
歴史のところでも触れた通り、フェズは8世紀末に築かれた岸辺の町が起源です。川の名前は今日「フェズ川」と呼ばれますが、最初の統治者イドリス1世は、この川の西側(左岸)を発展させ、その息子イドリス2世が川の東側(右岸)を発展させました。
この全体のエリアを「フェズ・エル・バリ」と呼びますが、実はほとんどの観光スポットはイドリス1世の築いた、もっとも古いエリア、川の西側(左岸)に集中しています。
東側は見どころが多くなく、地元の人の居住エリアのためあまり立ち入らない方が良いでしょう(危険なわけではありません)。ちなみに「フェズ川」は、一部区間は地下ですが、今も流れています。地図にも載っていますし、観光の際の目印にもなりますよ。
一方、「フェズ・エル・バリ」地区の外側、南西に隣接するのが、13世紀に拡大された「フェズ・エル・ジェディド」地区です。庭園や王宮があり、興味次第での観光がおすすめ。その他ユダヤ人地区「メラー」、現在お墓や教育機関のある一部エリアを含んで「フェズ旧市街」として世界遺産登録されています。
迷子にならないコツ
「フェズはマラケシュよりも難易度が高い」と言われます。というのも、マラケシュと違い「目印」が少ないです。マラケシュのメディナには「ジャマ・エル・フナ広場」があり、いざ迷子になってもお店の人に広場の方向を訪ねれば戻れます。ですがフェズにはそれがありません。このためいくつかのスポットをチェックしておく方法がおすすめです。
ひとつは「通り」で、「ブー・ジュルード門」から「カラウィーン・モスク」をつなぐメインストリート「タラア・カビーラ」、それと並行した「タラア・セギーラ」が目印になります。迷ったら、北上するか南下すればこの通りにぶつかります。
もうひとつは「フェズ川」(途中から地下になり地上に「ルーシフ門」「アフメド・ベン・モハンマド・アラウ大通り」が走っています)。西へ向かうと必ずぶつかることになり、これも目印になります。
究極、歩いていれば「城壁」「城門」にぶつかりますので、時間をかければ解決します。ですが行き止まりも多いため、一番良いのは迷った段階で人(できれば店員)に聞いてメインストリートや「ブー・ジュルード門」まで戻る事です!
英語・日本語ガイドツアーはおすすめ
フェズはメインストリートを離れると、迷子になる可能性がぐっとアップ!ただ、歴史地区のもっとディープなエリアを覗いてみたい、地元っ子に人気のお店に行ってみたい、そんな部分もありますよね。
フェズの旧市街は半日でも良いので、ガイド付きでの観光をおすすめします。英語でも日本語でも手配はOK。コストはかかりますが、値段以上の価値があります。単にフェズの観光スポットを知れるだけでなく、日本の言葉・習慣・価値観が通じるガイドに安心感が得られますし、一緒でないと行けない場所へ行けます。
さらには、買い物のHow Toを教えてもらえる、フェズ以外の情報も得られる、モロッコ全体への理解が深まり親近感が湧く、などメリットが盛りだくさん。モロッコの最初の都市がフェズであった場合は、特におすすめ。よりモロッコが好きになりますよ!
弊社ではフェズ・マラケシュはもちろん、周遊旅行でも日本語の専属ガイドをアレンジ可能。ガイド手配はお気軽にご相談くださいね。
それでは以下よりフェズ全体の観光スポットをご紹介します!
観光スポット18選とモデルコース
「フェズ旧市街」は隅々まで歩こうと思うと迷いやすいばかりではなく、かなり広域です。個人で歩く場合の観光のパターンとしては、以下からの3つからの選択がおすすめ!参考までにコースごとに色を振り分けましたので、観光スポットと照らしあわせてみてくださいね。
- 旧市街弾丸観光コース (数時間~) ⇒ ■
- 旧市街「フェズ川左岸」コース (半日~) ⇒ ■
- フェズ広域観光コース (1日~) ⇒ ■
尚、以下に「観光スポット18選」を記載しますが、これはおおまかに西から東への立地順になっています。この順番で観光できますので、あわせて参考にしてくださいね!
フェズ旧市街 (フェズ・エル・バリ) ■■■
旧市街の中でも、特に歴史的なエリア「フェズ・エル・バリ」。フェズは丘陵地帯にありますが、このエリアは丘陵の「底」です。川に面するエリアがもっとも低く、もっとも古いということになります。
フェズが迷子になりやすい理由として、クネクネの道だけではなく、それに加えてアップダウンの勾配があるために感覚を失いやすいという説もあります。つまり平面のグーグルマップを見ていても迷子になる場合がありますから、ぜひそれを楽しみましょう!
ブー・ジュルード門 ■■■
フェズと言えばココ、と言われるほど有名な城門です。旧市街最大の城門で、起源は12世紀、「練兵場」という言葉が語源とされています。当初は防衛を目的として建てられたものですが、次第に装飾的な存在となりました。
現在は美しい彫刻やタイルで装飾され、多くの観光客にとって旧市街の「出発地点」の象徴となっています。タイルは門の外側が青、内側が緑となっているのもユニークです。
ケビーラ通り&セギーラ通り ■■■
「ブー・ジュルード門」をくぐると、そこはメインストリート「タラア・ケビーラ」の起点。この道は「カラウィーン・モスク」までつながり、道沿いには重要な観光スポットが点在しています。ただ、メインストリートと言っても道幅は狭いので気を付けましょう。
また「タラア・ケビーラ」の南側には並行して「タラア・セギーラ」の通りがあり、2つの道に沿って観光することで、多くの見どころを網羅できます。時間があまり無い場合は、「カラウィーン・モスク」を終点に、この2つの道を往路・復路として観光することをおすすめします。効率がよく、迷子にもなりません。
ブー・イナニア・マドラサ(神学校) ■■■
「タラア・ケビーラ」に沿った、14世紀のマドラサ(イスラム神学校)の「ブー・イナニア・マドラサ」。大理石のシンプルな床に、緻密な彫刻の壁面というコントラストが特徴的な中庭を有します。イスラム建築の傑作とも評され、芸術的な美しさがありますよ。
フェズにはいくつかのマドラサがありますが、入場は非常におすすめです。というのもモロッコでは宗派的に異教徒はモスクへは入れません。観光客が入場できる歴史的建造物は限られており、その数少ない施設のひとつがマドラサです。ぜひとも逃したくないチャンスです。
ネジャーリン広場と泉 ■■■
「タラア・カビーラ」と「タラア・セギーラ」の2つの道が合流するそばに、「ネジャーリン広場」があります。ネジャーリンとは「大工」という意味で、広場に面して椅子や机を制作している仕事場があり、活気のある区画です。
また広場には「ネジャーリンの泉」と呼ばれる公共の水道設備(噴水)があり、色彩や造形の美しいことで知られます。ちなみにモロッコはこうして水場をきれいに装飾する習慣がありますので、様々な場所で比較してみても面白いかもしれませんね。
ネジャーリン木工芸博物館 ■■
またネジャーリン広場には「ネジャーリン木工芸博物館」があり、これはもともと「ネジャーリン・フンドゥーク」と呼ばれ1階は厩舎、2階は宿泊施設だった建物を改装したもの。フンドゥークは「宿」という意味で、いわゆるキャラバンサライを示します。
時代を追ってホテルになったり、警察署になったり、木工品の製作所になったりと変化しつつ、現在は木工芸品の博物館としてオープン。農具、家具、生活用品、楽器などを展示しており、建物の内装も木材を多用しているという点で美しさがあります。
タンネリ・シディムーサ ■■■
「ネジャーリン広場」にほど近い「タンネリ・シディムーサ」。タンネリとは、植物の樹皮から抽出した渋皮成分「タンニン」が語源。フェズではこのタンニンを用いた伝統的な「皮なめし」が今も引き継がれています。
もっとも有名なタンネリは「タンネリ・ショワラ」ですが、この「タンネリ・シディムーサ」も同等の歴史があり、起源は9世紀に遡るとされています。ショワラよりも小規模ではありますが、その分見学しやすく、他の観光スポットから近いため穴場。時間がない方の選択におすすめです!
アッタリーン&ヘナ スーク(商店街) ■■
「アッタリーン・マドラサ」の少し手前、「タラア・カビーラ」の道沿いに入口が面する市場。「アッタリーン・スーク」と「ヘナ・スーク」は向かい合うような位置関係です。アッタリーンは「香料」を意味し、スークとは「商店街」のこと。
売り物としては香料だけではなく、スパイスやヘナの粉、また織物や衣料品などもあって、目移りするほど。モロッコ観光の最初にフェズに来た場合は、民族衣装やスカーフを購入するのも良いと思います。お土産になる一方で、砂漠では実際に役立ちますよ!
カラウィーン・モスク ■■■
「タラア・カビーラ」、また「タラア・セギーラ」としても、到着地点はこの「カラウィーン・モスク」になります。残念ながら異教徒は入館できませんが、大変歴史と伝統のあるモスク。
イドリス朝とその首都フェズが興ってまもなく、「フェズ川」の西側では現チュニジア(ケルアン/カイラワーン)からの移住者を受け入れ、東側では現スペイン(アンダルシア)からの移住者を受け入れつつ街が発展していったという経緯があります。
そのため地名をとって西側には「カラウィーン・モスク」が、東側には「アンダルース・モスク」が建てられ、今日までエリアを象徴する存在となっています。と同時に川を隔てて「カラウィーン地区」、「アンダルース地区」と区別されています。
そんな「カラウィーン・モスク」は、9世紀から1000年もの年月をかけて改装・改築され、歴史の中で祈りから学問の場へと発展していきます。自然科学、医学、数学、化学、天文学など多彩な学問を学ぶ場、すなわち「大学」として機能。現在でも大学として登録され、現存し継続的に活動している、世界最古の教育機関です。
アッタリーン・マドラサ(神学校) ■■
「カラウィーン・モスク」の北側に隣接する14世紀の神学校「アッタリーン・マドラサ」。「ブー・イナニア・マドラサ」よりは小規模ですが、壁面の彫刻が緻密です。派手というわけではないですが、迫力があります。
ここはデザイン性が非常に際立っていて、超繊細な壁面彫刻×超感覚な色彩のタイル×草木文様風レリーフの木材、という、常人には想像も創造もできない空間になっています。素人の筆者が言うのもナンですが、木材でキュッとまとまりがある感じがして、すごいバランスです。百聞は一見に如かずですから、ぜひ見学を。
サファリーン広場 ■■
「カラウィーン・モスク」の南側に隣接するのが「サファリーン広場」。サファリーンは「鍛冶屋」を意味し、真鍮など金属加工の作業場があります。広場にはカンカンカン、と作業の音が響きます。工芸品はもちろんお土産としても購入可能ですよ。
この「サファリーン広場」のより少し下ると、「フェズ川」が流れています。「フェズ川」に沿って北上すると「タンネリ・ショワラ」があり、南下すると「ルーシフ門」があります。また川の東側がアンダルース地区です。
タンネリ・ショワラ ■■
「フェズ川」のほとり、フェズで最大のタンネリが「タンネリ・ショワラ」です。皮を染める染料の色彩は、まるで巨大なパレットのよう。「匂いがきつい」とも言われますが、中世以来の伝統で、天然のままの手法で作り上げている証拠ですよ!
ちなみに「タンネリ・ショワラ」と「タンネリ・シディムーサ」はどちらがより伝統的か、ということについて答えは出ていないそう。ただこの川こそ町の興りであり、また「皮なめし」という作業は水を多用することを考えると、こちらの方が初期という気がしないでもないですね。
ルーシフ門 ■
「フェズ川」は途中で地下に流れ込みますが、その起点で地上にあるのが「ルーシフ広場」と「ルーシフ門」です。東西の区画をわかつゲートという存在で、シックな色合いで落ち着きを感じさせる佇まいです。
「ルーシフ門」は、「ブー・ジュルード門」と反対側の城門といった位置にあたり、メディナへの入口でもあり出口でもあります。また観光中の目印にもなりますから、位置関係を知っておくと安心かもしれませんね。
アンダルース・モスク ■
「カラウィーン・モスク」の項目でも触れましたが、「ルーシフ門」を抜けて、「フェズ川」の東岸にあるのが「アンダルース・モスク」です。「カラウィーン・モスク」はもともとチュニジアからの移住者だった裕福な商人の娘ファーティマ・フェヘリーヤが建てましたが、「アンダルース・モスク」はその妹メリアムが建てています。
エリアの中心でもあり、9世紀からの伝統がありますが、残念ながらここも異教徒は入れませんので、外観のみの見学です。
ジュナン・スビル庭園 ■
時間のある方におすすめしたいスポットが、この「ジュナン・スビル庭園」です。「フェズ・エル・バリ」と「フェズ・エル・ジェディド」の間にあり、緑にほっと一息つける場所。観光の合間に休憩として訪れるにも、ゆっくり訪れるにも良く、すぐ外には落ち着きのあるカフェやレストランがあります。
今では地元の住民に愛される憩いの場ですが、もともとは王室専用で1917年に一般公開されたものです。それまでは庭園と王宮は地下通路でつながれていたそうですよ。
王宮 ■
「フェズ・エル・ジェディド」の中枢とも言えるのが王宮です。もとは13世紀から15世紀にフェズを首都としたマリーン朝スルタン(王)の居城。広大な敷地で、当時は兵士の駐屯地を兼ねていました。現在ではモロッコ国王がフェズに滞在する時に使用され、一般公開はされていません。
ただ、王宮の正門が美しく、前が広場になっています。観光スポットになっていますので見学はおすすめ。またこの広場を東進すれば「スマリン門」に出ます。この門の周辺はスークになっており、お土産や民族衣装を買うのにおすすめです。
メラー ■
「フェズ・エル・ジェディド」より南、「メラー」地区はかつてのユダヤ人居住地であったため、他の旧市街エリアとは異なる建築的な特徴があります。プライバシーを重視し中の見えない造りのイスラム教の家々に対して、ここでは家々にバルコニーや窓の多い造りに。開放的な雰囲気がありますよ。
このエリアに住んでいたユダヤ人はイスラエル建国の際に移住しましたが、こうした家並み、シナゴーグ(礼拝所)、お墓などが残っており、観光可能です。
メリニデス(マリーン朝)の墓 ■■■
最後に旧市街の北側にある観光スポットをご紹介しますが、ここは弾丸旅の場合も余力があれば訪れてほしい場所です。
城外の丘に、マリーン朝時代のスルタンたちが埋葬されている墓地があり、かつては美しいものであったという伝承が残るのみで、現在遺跡としてはほとんどが崩れてしまっています。そんなお墓の跡地ですが、ここはなにより「フェズで一番高い場所」。
ここでは素晴らしいフェズの全景が眼下に迫ります。喧騒を離れ城外に出て、迷路の街を見下ろせば、まるで遠くから映画でも見ているかのような気分に。これは現実で、遠い異国にいるんだな…、そんな実感の湧く眺めです。
王様たちのお墓は、フェズでもっとも素敵な場所に建てられたということかもしれません。ぜひとも少しお邪魔して、思い出に残る景色をご覧になってみて下さいね。
近郊の観光スポット4選!シャウエンや世界遺産も
観光スポット18選に加え、近郊の見どころを4ヵ所ご紹介します。フェズを起点にして他の人気都市や世界遺産も観光可能ですので、参考にしてくださいね。
メクネス(世界遺産)
17世紀アラウィー朝では首都でもあった古都「メクネス」。世界遺産にも登録されています。フェズからはわずか車で1時間の距離なので、興味がある場合は日帰りで気軽に訪れることができます。
メクネスではやはり城門の美しさがよく知られ、巨大な「マンスール門」はグリーンのタイルが印象的です。また異教徒でも入場可能な唯一の霊廟が「ムーレイ・イスマイル廟」。アラウィー朝の王ムーレイ・イスマイルの遺体が安置されている部屋を見学できます。このほかキリスト教徒の地下牢、マドラサ、モスク、王宮など歴史を物語る遺産が多く残っています。
一方で、ここはブドウの産地であり、同時にワインの名産地でもあります。メクネス・ワインはお土産としても人気が高く、購入はおすすめですよ!
ヴォルビリス(世界遺産)
メクネスから1時間弱。「ヴォルビリス」は古代遺跡として世界遺産に登録されています。
このエリアは、5000年前の新石器時代には人が住み、紀元前3世紀頃からは地中海の覇権を争ったフェニキア人の影響下に。その後、紀元1世紀ごろからローマ帝国の都市として発展していきます。実は北アフリカにはローマ遺跡がいくつもあり、ヴォルビリスはその中でも保存状態の良い遺跡として有名です。
「保存状態が良い」とは言っても建物がしっかり残っているわけではなく、その価値はモザイク画にあります。特にギリシャ・ローマ神話の神々は美しく、「ヘラクレス」「ヴィーナス」「オルフェウス」「デュオニソス」などのモザイクが色鮮やかに残っており、一見の価値ありです!
ちなみに「ヴォルビリス」は、漫画家・浦沢直樹さん著「マスターキートン Reマスター」の中で舞台になっています。「MASTERキートン」は1988年から連載開始のちょっと古い漫画ですが、考古学や遺跡に興味がある方にはおすすめの漫画ですよ!
ムーレイ・イドリス
「ヴォルビリス」の遺跡よりわずか車で10分の場所に、「ムーレイ・イドリス」の町が広がります。ここにはモロッコの立役者でありフェズの創始者、イドリス1世の霊廟があります。
町全体が聖域であり、巡礼者も多く、他のモロッコの町とはまったく違う雰囲気。ピリピリしているという意味ではなく、ひっそりとしかし固く伝統を守ってきた強さ、と同時にどこかノスタルジックな穏やかさをあわせ持っています。丘に密集する小さな家々の風景もとても素敵です。
事実、この町は 1912 年まで非イスラム教徒の立ち入りは一切禁止され、2005 年まで宿泊することもできませんでした。つまり約1000年の間、閉ざされていた町ということです。観光客も少なく、時がゆっくり過ぎていく聖地。筆者はこの町を大変な穴場だと思っています!
ただ、「ムーレイ・イドリス」はすでに世界遺産の暫定リストに登録されています。世界遺産は、遺産を守るという点では価値がありますが、多くの観光客を呼び込んでしまうリスクがあり、そのバランスが重要です。聖なる遺産の魅力を半減させないよう、観光客側もマナーと節度を守って訪問できればいいですね。
シャウエン
いまやモロッコの観光地の中で、絶大な人気を誇るのが青の街「シャウエン」。シャウエンは大きな都市から距離があり、しかも山の中にあり、とてもアクセスしにくい場所にあります。日帰り観光を望む場合は、フェズから片道4時間かけてアレンジ可能です。
ただ、シャウエンはどこを歩いても一瞬一瞬がフォトジェニック。時間があっという間に過ぎてしまいますので、もし可能な場合は1泊する方がじっくり楽しめます。シャウエンの記事は以下もご参照くださいね!
いかがでしたでしょうか。
フェズの街はもちろん、近郊にも素晴らしいスポットが多く、モロッコは本当に魅力的な国ですね!
弊社では、お好みの観光スポットを、自由自在にアレンジ可能です。日本語ガイドももちろん手配可能ですし、近郊エリアへの専用車・ドライバー・ガイドの手配もお任せください。たとえば以下のように効率よく、様々な形でアレンジが可能ですので、ご興味に応じてご相談下さいね。
フェズ発着
- ヴォルビリス→ムーレイ・イドリス→メクネス(終日観光)
- シャウエン1泊→ヴォルビリス(1泊2日)
モロッコは、旅行中の限られた時間の中ですべてを自身で手配するにはハードルの高いエリアです。これらの観光スポットをいざ個人で手配しようとすると、とても手間がかかりますし、安心して旅行ができないというリスクも生じます。
安全と安心を優先したい場合は、やはり日本の旅行会社での手配がおすすめ。旅行代理店経由の手配であれば事前に確実な旅程がスケジューリングできますし、なにより安全。団体ではなく個人旅行スタイルなら、自由な旅が実現可能ですよ。
では、続いてはフェズのおすすめホテル&リアドをご紹介していきます。
素敵な滞在を!おすすめホテル&リアド
フェズでは近代的なホテルに宿泊する場合は「新市街」の滞在がおすすめです。「旧市街」は昔ながらの狭い区画にありますので、大きなホテルは建てられません。その代わり古い官邸を改装した「リアド」が存在し、伝統的で重厚感のある雰囲気が素敵。観光にも便利です。
ただ、リアドは邸宅、つまりあくまで個人宅を改装したホテルを指します。このためお部屋がコンパクトだったり、バスタブやツインルームがなかったりと、リアドによって諸条件が異なります。希望に合うかということはよく確認が必要です。
ホテル ムーニア (★3ホテル)
新市街にあるホテルです。多少の古さはありますが、モロッコらしいデザインのお部屋は可愛らしく、お手ごろ。ただ、お部屋はきれいですが、水回りなどは完ぺきではないケースがあります。
フェズだけでなくモロッコでは、「安く・設備がよく・人気があるホテル」は極めて数が少ないです。設備面がちゃんとしているホテルは、比例してお値段が高くなっていきます。設備での安心は★4ホテル以上がおすすめですよ。
HOTEL MOUNIA FEZ
Address: 60 Rue Zerktouni, Fez, Morocco
Tel: +212 535 624 838
バルセロ フェズ メディナ (★4ホテル)
こちらは新しく近代的なホテルです。世界基準の安心をチョイスしたい、なんの心配もなく観光の疲れを癒したい、そんな場合はこちらがおすすめ。館内にはプール、フィットネス、エステサロンなども完備。ルームサービスもあり自室で朝食を食べることも可能です。
BARCELO FES MEDINA
Address: 53 Avenue Hassan II, Fez, Morocco
Tel: +212 535 948 800
https://www.barcelo.com/en-us/barcelo-fes-medina/
リアド ダル アネバー (リアド)
立地は旧市街の中ではなく、北側の「ギッサ門」から徒歩4分の立地です。観光に便利でありながら中心からは微妙にはずれ、その分静かでおすすめのリアド。
ピンクをベースにした内装が可愛らしく、それでいて甘すぎない、ほどよいインテリアがセンス抜群。天井の高さも迫力があります。清潔で、スタッフもとても感じがよく、穴場のリアドです。
DAR ANEBAR
Address: 15 Derb lmiter Zenjfour Bab Guissa Fes, Morocco
Tel: +212 666 202 614
リアド ベンソーダ (リアド)
ホテルでいう★4クラス相当のリアドです。このランクまでアップしますと、滞在に安心感があります。立地もフェズ旧市街の中心にあり、カラウィーン・モスクまで徒歩6分程度でアクセス可能という好条件。
スパが完備され、屋上にはテラスも。凝った内装で、このリアド自体が素敵なフォトスポットです。リアドの雰囲気をじっくり楽しめますよ。
HOTEL & SPA RIAD DAR BENSOUDA
Address: 14 Zkak El Bghel, Elquettanine, Fès 30202. Fes, Morocco
Tel: +212 524 426 463
パレス シェヘラザード & スパ (高級リアド)
★5ホテル相当の高級リアドです。シェヘラザードとは「千夜一夜物語」の語り手、ペルシャの王妃からとった名前です。またパレス(お城)という名称の通り、緻密な装飾の建物に、緑がいっぱいの庭園、豪華な客室がゲストを迎えます。
モロッコの建築的な美しさにこだわり、そこはまるでおとぎ話の中のよう…。ロマンティックなリアドならこちらで決まりです!
PALAIS SHEHERAZADE & SPA
Address: 23 Arsat Beniss Douh, Medina, Fes
Tel: +212 535 741 642
http://www.sheheraz.com/en/
リアド フェズ (高級リアド★5)
フェズといえばここ。フェズ旧市街の最高級リアドが、このリアドフェズです。ファシリティ、サービス、食事、そして伝統。すべてが行き届いているリアドとして、多くの利用者に愛され、高評価を得ています。
内装はとても上品で、美しい彫刻を用いながらも過剰な装飾はありません。「余白」を楽しむような、空間的なゆとりを感じさせ、大人向けです。またおすすめはテラス。眼前にフェズ旧市街の街並みが迫り、すばらしい眺望が楽しめますよ!
RIAD FEZ
Address: Derb Zerbtana, Fez, Morocco
Tel: +212 535 741 206
https://riadfes.com/
まとめ モロッコを満喫するなら「個人ツアー」がおすすめ!
ここまで、魅力いっぱいのフェズの観光情報を紹介してきました。
そんなフェズへ行くには、大手旅行会社のパッケージツアーを利用する、また自分でホテルや飛行機、バス、車を手配するなど様々な方法があります。
しかしながら団体パッケージツアーでの観光は自分の好きなところへ行けなかったり、待ち時間が長かったりと、満足できないことも…だからと言って、個人ですべてを手配するのはとても大変。送迎やサポートがないと不安という方も多いかと思います。
そう考えている方のために「スペースワールド」はリーズナブルかつお客様のご希望に沿った個人ツアーを提供しています。フェズを自由に堪能したい、でもチケットやホテルの手配、送迎やガイドの手配は任せたいと考えている方は、ぜひスペースワールドにお任せください。
スペースワールドのフェズ(モロッコ)ツアーについては以下のページで詳しく紹介しています。
それでは最後にフェズ旅行によくある質問を一問一答形式で紹介します!ぜひご活用くださいね。
フェズ旅行のQ&A! お土産や治安情報など
公用語はアラビア語!英語は通じる?
モロッコの公用語はアラビア語、第二公用語はフランス語。そのあとに英語というイメージで、フランス語は話すけれども英語は分からないという人も少なからずいます。
ただ若い世代を中心に、近年は英語の話者も増加。世界中から観光客が訪れるフェズのレストラン、ホテル等では英語が堪能な人が多いです。英語でコミュニケーションが取れる場合、観光に困ることはありません。
駅や空港も治安は良いですか?
イスラム圏はもともと「旅人をもてなす」という文化があり、モロッコの治安は良く、凶悪犯罪は少ない国です。親切な人も多い一方、フェズは都市部なため、地方に比べて気を付けるべきポイントが。
すでに紹介のとおり、旧市街はまるで「迷路」。細い路地が多く、気を抜くと観光中に簡単に迷子になってしまいます。もちろんそれも醍醐味ですが、「人気のない道」「暗い道」「夜間」の深入りは避けましょう!また旧市街の城門付近は人、車、物が溜まりやすく、殺伐とした雰囲気になることも。
一方で駅や空港は整備されつつあり、治安は良好に。ただ悪い意図がある人物は、人を観察しています。隙がある人をターゲットにしますので、毅然とした態度でいましょう。スリや置き引きにも十分注意が必要です。
貴重品については、分散して所持する、多額の現金は持ち歩かない、といった形での管理が安心。弊社では現地に日本語の緊急連絡先がありますので、お困りの際は連絡可能。サポートは万全です!
フェズの気候は?ベストシーズンは?
フェズはアフリカ大陸のモロッコに位置しますが、アトラス山南部とは異なり「砂漠」ではありません。地中海や太平洋の影響を受けるため「亜熱帯気候」に属し、夏は暑く、冬は天気が崩れやすくなります。
冬でも日本よりは暖かいことが多いですが、真冬ではマイナスに、真夏では35℃以上になることもあります。旅行シーズンとしては3~6月、9~11月頃が過ごしやすいですが、昼夜の寒暖差には注意し、着脱できる服で調整しながらの観光がおすすめです。
お土産にはアルガンオイルやフェズ刺繍が人気?フェズブルーって?
モロッコ全体で共通して人気があるのは、バブーシュ(サンダル)や靴。それに陶器やアルガンオイル。カゴ製品、革製品、布製品など。小物やバッグやストールなど、とっても可愛いく、目移りするほど多種多様な雑貨があり、フェズでもたくさんのお土産が見つかります。
アルガンオイルの生産地はモロッコ南部ですが商品の流通は多いです。一方フェズのオリジナルとしては「フェズ刺繍」と「フェズブルー(陶器)」がおすすめ!フェズ刺繍は裏と表がリバーシブルなものでフェズ発祥とされ、可愛らしくも緻密なデザインです。また陶器は鮮やかな青が特徴的!印象的な色彩は「フェズブルー」と称され多くの人に愛されていますよ。
マラケシュや砂漠(メルズーガ)にも
フェズは、単体での訪問でも満足感のある、懐の深い古都です。フェズにシャウエンを追加するプランもおすすめですが、一方でマラケシュやメルズーガ(砂漠)もやはりおすすめの観光スポット。
マラケシュも砂漠もアクセスが良いとは言えませんが、せっかく行くならメルズーガもマラケシュも含めつつ、ぐるっと周遊する旅がおすすめですよ!
マラケシュやメルズーガの記事は以下もご参照くださいね。
スペインからの船旅
一方でスペインから船でジブラルタル海峡を渡り、「タンジェ」から「シャウエン」を経由し「フェズ」へ訪れるという行程(またはその逆)も非常におすすめです。大陸間を渡るというアドベンチャーに心がうずきます!こうしたプランもご相談可能ですので興味がある方はぜひお気軽に♪